廣坂 物語 
 History of the Hirosaka family and Masami.


 廣坂 正明 及び 正美 の生い立ち、歴史を記録します。

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   Vol−77

  1997年 1/12 全日本選手権 (新潟)

 アメリカでの世界選手権より帰国後、10日後には今度は新潟での1/12
 オンの全日本選手権の準備をしなければならない。 
 今回は新潟でのインドアの常設コース、日数を考慮すると、一度しかテストを
 する機会は無い。東京からだと約300km、運転は私だけ正美には運転は
 させない。

 事前に一度だけテストに行き本戦を迎える。 1/12はパーツも少なく
 準備は少し楽だが、モーターとバッテリーに神経を使う。正美はタイヤの準備
 が大変だ。

 本戦のコースにはテストには行くが、1/12はレースが始まると、グリップ剤等
 の影響で、路面グリップが極端に変ってしまう。通常はレース初期はグリップが
 低く、進行するに従い、グリップが上がって来る、それに伴いラップタイムも速く
 なるのだが、今度は走行時間が短くなる。 この辺りのデーターが非常に重要
 になるのだが、これは進行状態でないと分からない。

 その為に今までの経験による読みが大変重要となる。 最初の練習等でどの
 程度、路面が変化していくか?をある程度判断しなければならない。

 通常は多くのドライバーは、モーターと、ギア比、そしてタイヤ径を考慮して指数
 を出し、これにより調整をする。 走行時間が短ければ、ギア比を下げたり、
 タイヤ径を小さくして、指数をさげたりしながら調整をする。 しかしこの方法
 だと、往々にしてレース後半では走行時間が難しくなる。

 我々は、まずリーディ氏が用意してくれた数種類のモーターで、夫々に指定
 されたベストのギア比で走行テストをする。そしてフィーリングの合う2〜3種を
 選定する。 そしてタイヤ径は、正美がテストをして一番良いタイヤ、径
 そして減り具合、グリップの持続等で決定する。

 そうすると、必然的に指数は固定されてしまう。 これでほぼフルスロットルで
 走行させて、6分30秒〜7分走行出来れば良しとする。

 あとは、正美が計算をしながら、ペース配分をして8分間を走行させる。
 その為に他の選手よりかなり速い速度でのセットとなる、勿論全速で走行する
 と最後でダウンをしてしまうが、そこを上手く調整しながら、ぴったりと最後で
 辻褄を合わす。

 レースを見た事がある人は、直線で追い抜きをする時に突然凄いスピードを
 出したり、レースの終盤7分過ぎてからでもベストラップを出したりするのを見た
 事があると思う。

 よく正美には燃料ゲージが着いているのでは? と言われました。
 恐らくこれが出来るのは、世界でも正美しかいないと思う。


 しかしこれらを支えるのは、正確なバッテリーのデータを必要とする。 私は
 バッテリーを管理しているが、多くの人が正美は選び抜かれた一番良い
 バッテリーを使用していると、思っている様だが決してそうでは無い。

 勿論、バッテリーには大きな差があるのは事実だが、本当に良いバッテリーは
 非常に数が少ない、また数量を揃える事は出来ない。

 通常マッチドバッテリーと称され、販売されているものは、殆どが単セルチェック
 で、単一放電されて、放電時間と平均電圧位を測定して、6セルを組み合わ
 せて販売をしている。 しかも殆どが1〜2度位のチェックだ。

 バッテリーは、新品から2、3度充放電をしないと安定しない。 私はまず
 あまり大きな負担を掛けずに、2度充放電をする。それから単セルチェックを
 実施する。チェック項目は、1秒毎の電圧、放電時間、内部抵抗等である。

 これで、グラフに描けば、重なる様なセルを6セル選び出す。 (これはPCに
 より選び出すプログラムを製作した)

 選び出された6セルを使用時と同じ様にシャンテにて接続する。 そしてそれを
 6セルチェックにかける。 これは使用時と同じ様に6セル全体で放電しながら
 各セルの電圧を測定して、夫々の放電曲線をグラフに描き、他のデーターと
 共にデーター表とする。

 もしこの状態で、6セルの放電曲線にバラつきが出ると、再度各セルをバラ
 して、単セルチェックから繰り返す。

 その為にヨコモマッチドは、世界で唯一6セル組み立て済みで、データー表も
 添付して販売している。

 このデータを参考にして、レース用を選定する。 レースにより、パワータイプや
 時間タイプを選ぶ。 大事な事は、データーをきっちりと揃える事である。

 同じ走行をしてもバッテリーの良し悪しで走行時間が変ってしまっては安定
 した記録は望めない。

 前ヒートでは完走したのに、次ではバッテリーダウン等良く見られるが、これは
 バッテリーの差による事も多い。 放電時間だけのマッチドでは良くある事。

 私は、正美のレース用としては、練習から決勝まで、あまり差が無い同じ様な
 ものを用意する。 1、2パック位ずば抜けたものがあっても、使いこなせない。
 それよりしっかりと計算出きるものを選定する。 ビッグレースでは、10パック
 以上必要となる。

 そして練習時より次のバッテリーのデータを正美に伝える、伝達は2種類、
 のみ、走行時間(前回より5秒プラス...等) パワー前回より少しアップ、
 等である。

 このデータを元に、正美は自分の感覚で走行させる。 勿論クラッシュ等を
 すると、データ、感覚は狂ってしまう事もある。 正美の感覚によると、すこし
 ふら付いたりすると約2秒、転倒等では約10秒マイナスになると言う。

 正美の正確なバッテリー消費は、正確なバッテリーのデータで裏づけられる。
 しかしこれは殆どの人は認めようとしない。 正美はいつも最高のバッテリーを
 使用していると思っている。 もしそんなものが多数あれば、私は大変楽が
 出来るのだが...



 
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 1/12全日本選手権が終わって10日後には、今度は岐阜にてオフロード
 全日本選手権と続く。いつもの事だが、シーズンが始まると選手権が連続
 する。 カテゴリーの切り替えが大変。 またプロならレースに専念出来るが
 我々は純社員である為に、他の業務もこなさなけれならない。
 例によってバッテリーのサポート準備、そして販売用等...


 今回は世界選手権後のオフロードだが、MX−4は使用しない。 全日本で
 プロトを使用すると、ユーザーからの反感を買う恐れがあると言う事。

 2WDはアソシB2、そして4WDはYZ−10Wとなった。 勿論マシンには
 なんら問題はないが、準備が大変だ。 世界選手権の後始末もまだ出来て
 いない。

 とにかく岐阜へ...今回は特設コースの為、事前の練習は出来ないとの事で
 前日より現地入りとなった。



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 新潟、岐阜と続いた全日本選手権 次の目標は現在一番重要となる、
 ツーリングの全日本選手権が一ヶ月後に群馬県の川場にて開催される。

 世界選手権終了以来、レプリカの販売、そしてMX−4のプロダクションモデル
 の開発、またこれはツーリングカーとの共用という課題が要求されている。

 また、ツーリングの全日本選手権用のマシンも製作しなければならない。
 まさに息つく暇も無く予定がびっしり...

 そんな所へ、また24時間レースへの参加。 もう勘弁して〜 と言う感じ。
 しかし私の独断で決定は出来ない。 何とか最小限の労力で済ませたい。
 勿論、マシンを新たに作る時間も気力も無い。 とりあえず現行のもので
 何とか対処をしよう。

 恐らく今回は、勝算は殆ど無いと考えた。 理由は昨年の結果からルールの
 変更がみられた。 一人のドライバーが8時間以上操縦は出来ないとの事。
 これは我々にとっては大きな痛手である。 でもしょうがない、やるだけやって
 みよう。

 このレースは協会主催では無く、実車関係の人達での開催の様で、普段
 我々が行っている、選手権等とはルールや仕様等が大きく変る為に、我々
 にとれば、あまり大きな意味は無い様に思えた。 多分今年が最後の参加に
 なるだろう。 また、そうあって欲しい...




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  第3回 24時間耐久レース




  

  

  

  

  

  







 





   

  

 

 

 





  
  
  







  

  

  

  

  

  

  

  

 

 

 

 


























   Vol−78 へ つづく...